こんにちは!
九州大学 理学部 物理学科3年の、すがちゃんです。
「理学部」「物理学科」って、何をやっているのか、いまいちイメージできないですよね…。
「ニュートンみたいに、物が落ちるときの力とかについて研究しているの?」
違うんです!
そんな皆さんにも、九大物理の面白さを伝えたいと思います!
僕は理系の大学生なので、大学に入ると授業で実験をやります。
今回はその実験(「学生実験」と呼ばれます)について紹介していきます。
僕のいる物理学科では、3年生になると週に2回、午後に実験があり、物理に関する様々なテーマの実験をします。
その実験テーマには面白いものが多く、「超電導物質」を作ったり、宇宙から大量に降り注いでいる素粒子「ミューオン」を実際に測定したり、さらには「加速器」という大掛かりな装置を使った実験までやります。
下の写真は、超電導状態になった黒い円盤(画面中央)が強い磁石の上で浮いている写真です。この現象は「マイスナー効果」と呼ばれます。この超伝導体も実際に僕が作りました。(ドヤッ)
ここでは、「BZ反応」という不思議な化学反応を観察した実験を例に、学生実験の流れについて書いてみたいと思います。
~1日目~
学生実験は3日の実験で終わるものが多いです。この実験も3日間かけてやりました。
テーマごとに10人ずつくらいのグループに分かれて行います。実験のテキストが予め配布されており、実験当日はそのテキストと先生・TAさん(授業の手伝いをしてくださる大学院生さんです)の指示に従って進めます。
初日は使う試薬の調合を行ったあと、その試薬を使ってさっそく実験です。何種類かの試薬をビーカーに入れ、かき混ぜると…
色が周期的に変わっていく!
結果を実験ノートに記録してこの日の実験は終了です。
~2日目~
1日目の結果をまとめて、特徴を整理します。その後、実験を開始。
1日目とは異なる割合で試薬を混ぜてシャーレに入れ、放置すると…
不思議な模様が成長していく様子が観察できます。
この現象を観察し、実験ノートに記録して終了です。後日に詳しく解析が出来るよう、スマホを使って写真や動画としても記録しました。
~3日目~
2日目までの結果をみんなでまとめた後、各自で課題を設定して実験を行います。僕はシャーレに入れる溶液の濃度を変えて実験を行ってみたところ、面白い現象が見られました。
~後日~
今回の実験結果をまとめてレポートを作成します。締め切りは実験終了から1週間後。
レポートが無ければただの楽しい実験ですが、このレポートを書くのが大変。だいたいA4で10枚以上の分量になります。でも、レポートにまとめることで実験内容やその背景にある物理に対する理解が深まります。レポートにはただ結果を書くだけではなく、その結果からどんなことが言えるのかを考察します。この考察が一番重要!
こんな感じで実験が進んでいき、半年で5つほどのテーマについて実験を行います。
実験には様々なテーマがありますが、中には九大ならではの実験もあります。
それが、加速器実験です!
「加速器」という、素粒子や原子核などの小さい粒子を加速して衝突させる機械を使って実験を行います。学生実験では水素の原子核である陽子を加速しました。
加速器は最先端の物理実験では多く使われていますが、実は、加速器を持っている大学は全国に数か所しかなく、学生実験で学部生のうちに加速器を使って実験できるというのはとても貴重な事なんです!
まさに設備が充実している「九大だからこそできる」実験です。
さて、実験で使う加速器とはどのような設備なのでしょう?
僕が実験した時に写真を撮ってきました!
九大で使っている加速器は「タンデム型」というもので、この写真にあるのは粒子を加速する心臓部にあたる部分です。右手前にある金属製の管(中は真空になっています)から中央のタンク部分に粒子が入り、そこで加速されて写真奥へ出ていきます。
実際にどんな大きさなのか、よく分からないですよね…。
下の写真をご覧ください。反対側から取った写真です。加速器の右横に人が写っています。
このタンデム加速器はかなり大掛かりな施設なので、普段授業を受ける教室からは離れた場所に加速器専用の建屋があります。実験を行うときはその建物へ移動しますが、キャンパスが広いので実験施設までの移動も大変です(バスを使って移動します)。
この加速器を用いて、「原子核の人工変換」や「陽子散乱」などの実験を行います。
「原子核の人工変換」の実験では、金属のニッケルに加速した陽子を当て、コバルトなどの別の種類の金属に変換したりします。「現代の錬金術」といったところですね。
加速器実験は全部で13回あり、他の実験に比べて長い期間を使って丁寧に行います。
いかがでしたか?
物理学科では様々なテーマについて実験しますが、その中には設備の充実している九大だからこそできるすごい実験もあるんです!
というのが今回一番言いたかったことです。
実験はレポートを書くのが大変(ホントに大変)ですが、様々な現象を実際に見ることが出来て面白いです。
皆さんもぜひ、九大物理に来てワクワクするような実験をしてみませんか?
九州大学 理学部 物理学科3年の、すがちゃんです。
「理学部」「物理学科」って、何をやっているのか、いまいちイメージできないですよね…。
「ニュートンみたいに、物が落ちるときの力とかについて研究しているの?」
違うんです!
そんな皆さんにも、九大物理の面白さを伝えたいと思います!
僕は理系の大学生なので、大学に入ると授業で実験をやります。
今回はその実験(「学生実験」と呼ばれます)について紹介していきます。
僕のいる物理学科では、3年生になると週に2回、午後に実験があり、物理に関する様々なテーマの実験をします。
その実験テーマには面白いものが多く、「超電導物質」を作ったり、宇宙から大量に降り注いでいる素粒子「ミューオン」を実際に測定したり、さらには「加速器」という大掛かりな装置を使った実験までやります。
下の写真は、超電導状態になった黒い円盤(画面中央)が強い磁石の上で浮いている写真です。この現象は「マイスナー効果」と呼ばれます。この超伝導体も実際に僕が作りました。(ドヤッ)
ここでは、「BZ反応」という不思議な化学反応を観察した実験を例に、学生実験の流れについて書いてみたいと思います。
~1日目~
学生実験は3日の実験で終わるものが多いです。この実験も3日間かけてやりました。
テーマごとに10人ずつくらいのグループに分かれて行います。実験のテキストが予め配布されており、実験当日はそのテキストと先生・TAさん(授業の手伝いをしてくださる大学院生さんです)の指示に従って進めます。
初日は使う試薬の調合を行ったあと、その試薬を使ってさっそく実験です。何種類かの試薬をビーカーに入れ、かき混ぜると…
色が周期的に変わっていく!
結果を実験ノートに記録してこの日の実験は終了です。
~2日目~
1日目の結果をまとめて、特徴を整理します。その後、実験を開始。
1日目とは異なる割合で試薬を混ぜてシャーレに入れ、放置すると…
不思議な模様が成長していく様子が観察できます。
この現象を観察し、実験ノートに記録して終了です。後日に詳しく解析が出来るよう、スマホを使って写真や動画としても記録しました。
~3日目~
2日目までの結果をみんなでまとめた後、各自で課題を設定して実験を行います。僕はシャーレに入れる溶液の濃度を変えて実験を行ってみたところ、面白い現象が見られました。
~後日~
今回の実験結果をまとめてレポートを作成します。締め切りは実験終了から1週間後。
レポートが無ければただの楽しい実験ですが、このレポートを書くのが大変。だいたいA4で10枚以上の分量になります。でも、レポートにまとめることで実験内容やその背景にある物理に対する理解が深まります。レポートにはただ結果を書くだけではなく、その結果からどんなことが言えるのかを考察します。この考察が一番重要!
こんな感じで実験が進んでいき、半年で5つほどのテーマについて実験を行います。
実験には様々なテーマがありますが、中には九大ならではの実験もあります。
それが、加速器実験です!
「加速器」という、素粒子や原子核などの小さい粒子を加速して衝突させる機械を使って実験を行います。学生実験では水素の原子核である陽子を加速しました。
加速器は最先端の物理実験では多く使われていますが、実は、加速器を持っている大学は全国に数か所しかなく、学生実験で学部生のうちに加速器を使って実験できるというのはとても貴重な事なんです!
まさに設備が充実している「九大だからこそできる」実験です。
さて、実験で使う加速器とはどのような設備なのでしょう?
僕が実験した時に写真を撮ってきました!
九大で使っている加速器は「タンデム型」というもので、この写真にあるのは粒子を加速する心臓部にあたる部分です。右手前にある金属製の管(中は真空になっています)から中央のタンク部分に粒子が入り、そこで加速されて写真奥へ出ていきます。
実際にどんな大きさなのか、よく分からないですよね…。
下の写真をご覧ください。反対側から取った写真です。加速器の右横に人が写っています。
このタンデム加速器はかなり大掛かりな施設なので、普段授業を受ける教室からは離れた場所に加速器専用の建屋があります。実験を行うときはその建物へ移動しますが、キャンパスが広いので実験施設までの移動も大変です(バスを使って移動します)。
この加速器を用いて、「原子核の人工変換」や「陽子散乱」などの実験を行います。
「原子核の人工変換」の実験では、金属のニッケルに加速した陽子を当て、コバルトなどの別の種類の金属に変換したりします。「現代の錬金術」といったところですね。
加速器実験は全部で13回あり、他の実験に比べて長い期間を使って丁寧に行います。
いかがでしたか?
物理学科では様々なテーマについて実験しますが、その中には設備の充実している九大だからこそできるすごい実験もあるんです!
というのが今回一番言いたかったことです。
実験はレポートを書くのが大変(ホントに大変)ですが、様々な現象を実際に見ることが出来て面白いです。
皆さんもぜひ、九大物理に来てワクワクするような実験をしてみませんか?